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世にも不思議な夢(1)

2005-06-13

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もう5年も前のこと。
もともと若干霊感体質の嫌いがある私は、ぽつりぽつりと予知夢を見る人間ではありました。ですが生涯、これ以上に奇妙な夢は見ないのではないか、という程不思議な夢を見た時期のお話です。


夢か現かも判らぬ中、気付けばいつも私はある城の前に立っておりました。私の背後には辻馬車。黒っぽい、薄汚れた外套を羽織った私の足元には大きなずた袋。手にはバイオリンケースらしきもの。小雨に肩を濡らして、御者がいかにも寒そうに震えながら、白い息で悴む手を温めていた。

―ここは、どこだろう。冬がやってきているのか、妙に寒い。

ぼんやりと、そんなことを思う。

―どうでもいいが、雨が冷たい。私は何故こんなところに立ち尽くしているのだろう。何をしているのだろう。

ぶつくさ考えながら目の前にある城に目をやった。すると暗がりに人影が見える。午後4時頃だろうに、雨雲のお陰ですっかり辺りは夜のようだ。ランプのちらちらした光が少しずつ近づいてくる。何だろう?とにもかくにも今の私には状況の把握が出来ていない。誰でもいいから何か教えて欲しかった。そうこうしているうちに、その人影の輪郭が次第にはっきりしてきた。50代くらいの、小奇麗な身形をした男性である。何か聞けるかもしれないという期待を抱きながら、つい、と私は一歩前に出た。するとその男性は私に言ったのだった。

「ムッシュー、お待ちしておりました」

「ムッシュー」。ということは、どうやら私は男であるらしい。当然自分は女だろうと思っていたものだから少し面食らった。自分の姿を確認する手段がないのでどうしようもないが、どうやら眼前にいる男性のナリ・状況から推察するに私は16~18世紀のフランスにいるようであった。スカートも身に着けていないことを考えれば、確かに私は男なのだろう。
「そうか、夢の中では男にもなれるのだな」、と少し楽しくなってほくそえむ。

そんな私をよそ目に男性は続けて言った。
「長旅お疲れでしょう、お部屋の用意は整っております、どうぞ中へ」
すっかり状況の把握が出来た訳ではないが、長いこと雨の中にいた私は一もなく二もなく男性の後をついて行くことにしたのだった。

気分がのっていた私は男性の後を歩きながら色々話を聞いた。それによると、私はどうやら少しばかり名の知れた音楽家で、楽を奏でるためにこの城の持ち主に招かれたのだそうだ。

―ふむ、それでバイオリンケースか

そう思った瞬間、背後に蒼々とした光が閃く。
折りしも、私たちが城の入り口へとさしかかったときだった。待ち構えていたとでも言わんばかりに雨脚が強まる。

「はは、間一髪ですね」
私は男性に言った。
「いかにも。もっともお客様はそれ以上、濡れようがないようですよ」
男性が振り返って言った。その通り、私はもはや濡れ鼠以外の何者でもなかった。
「全くです。私は芯までずぶ濡れだ。外套も何もあったものではない(笑)」
すると男性は再び背を向けて、城の重々しい扉に手をかけた。
「雨の日は城内も滑りやすくなっております。くれぐれも足元にはご注意下さりますよう」

雨の中に不気味な音が響く。
油の差されていないような、鈍い、おどろおどろしい音。それと共に、埃っぽい、重たい空気が漂ってくる。

―冷たい

雨雲に覆われた空も暗かったが、城の中はそれにも増して暗いようだった。先ほどまでの楽しい気分なぞどこかに行ってしまいそうだ。
「さぁどうぞ、ムッシュー」
男性が扉を開いたまま、私に入るように促す。
一瞬、躊躇したが、入る他なさそうである。おずおずと城に足を踏み入れると、再び後ろで不気味な音を立てて、扉が閉められた。

城の天井は思いのほか高いものだった。少しの身動きも、衣擦れも、あらゆる音が反響した。それが一層、気味の悪さを引き立たせる。壁にはちらちらと揺らめく蝋燭の光が並んでいた。それにしたって、人のいる気配がしない。どうしたことだろう。私は男性が部屋まで案内してくれるというその後ろをピッタリついていきながら、尋ねてみた。
「もし、どなたもいらっしゃらないのですか」
男性は振り返りもせずに答える。
「ご主人様は、夕食のために身仕度を整えていらっしゃるところです」
答えになっているのか、よく判らなかった。貴族の類はそんなことでも大ごとなのだろうか、と首をかしげた。いずれにせよ、私には理解の出来るような世界ではない。突っ込むのも面倒だ。それ以上追及せずについていくのが得策なのだろう。

沈黙が続く。
落ち着かない私は少ししてふいと目を横にやった。
すると私たちが今歩いている廊下から脇に伸びた、長い廊下が目に飛び込んできた。突き当たりに扉があるようだが、とても暗くて定かではない。何故か、その扉が気にかかった。
私は再び男性に尋ねてみた。
「すみません、あの扉は何ですか」
男性が振り返る。
一瞬、表情が強張った気がした。
「お客様の気になさるような扉ではありません。あの部屋は開くことを禁じられております。お客様も立ち入りませぬよう」

立ち入り禁止、と言われては尚更気になるのが人情というものだ。

私は言うまでもなく男性の目を盗んでこっそりと例の廊下まで引き返したのだった。怖さよりは好奇心の方が勝っていたようである。一歩一歩扉に近づく私。早鐘のように胸打つ鼓動が、廊下にまで響いてしまいそうだった。

そして、そっと扉に手をかけようとしたその瞬間…








「お客様!ただ今注意申し上げたばかりです!」

怒鳴り声に驚いて私は飛び上がるのでしたが、いつも夢はここで終わり、気付けば布団から飛び起きて辺りを見回している私がいるのでした。









しかし、次の日眠ると再び同じ夢を見るのです。同じように雨の中で立ち尽くす私。変わらず不気味な城。そして決まって扉に手をかけようとするとそこで夢が終わるのであります。終いには、昼寝をしていても同じ夢が現れるようになりました。

続きは、また明日♪

以上
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asuさんのコメント

来ましたー。

こんばんは。卒論のやばさに今頃気づき、Y君のそば企画に乗ってる場合ではないときづいた(あ)です。かわいいブログだね~これからもちょくちょく遊びにくるので、よろしくねー。また良い漫画を発掘しておきます。胸きゅん系を(笑)

ayanoさんのコメント

はろりんこ☆

やあやあ、あたいもhiroくんのとこから飛んできただよー!
あねごもブログ持ってるなら言ってくださいよー!これから遊びに来ちゃうからねぇー♪
あ、ねぇねぇ、リンクしてよか?

管理人@ericaさんのコメント

>asu

いらっしゃーい!
私もね、自分のやばさに身震いしてY君のそば企画には参加できないのよー…。勉強勉強。。こちらこそ宜しく!漫画、期待してます(笑)高尾さんでよければ他の作品今度もってくよ?(笑)

管理人@ericaさんのコメント

>ayano

やぁ!
たったさっき、今日の記事を書いたらブログのことカミングアウトしに行こうと思ってたんだけど…先をこされてしまったわ!(笑)

どんどん遊びに来てください♪面白いものが提供出来るか心配だけど…ドキドキ。こっちからもリンクさせてね♪

asuさんのコメント

お願いしますー。

やばいよ、何回も読み返しちゃって。。。才蔵かっこよすぎだから。昨日の夜寝ぼけてたのか、「正蔵」とか送ってたね(><)名前違うしw

私もリンクはりたいなぁ。でもブログじゃないから無理かな・・・

管理人@ericaさんのコメント

>asu

了解しました(笑)

表情にきゅーんとくるよねー。高尾さんの「味」だと思う。あ、でも今度もっていくのは少し胸きゅん度下がるかもしれないから、大きな期待はしないでいてね(笑)

こっちからはasuさえよければ全然リンク貼るよ!普通のサイトでも大歓迎!

asuさんのコメント

影響を受けて、ブログにしてみたよー。
まだ公開度低いから、結構オフレコ話ものっけてくつもり☆
リンクお願いしますねー。

管理人@ericaさんのコメント

>asu

あなたの方にコメント残しておきました。みてねー☆

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プロフィール

erica/anego

  • Author:erica/anego

  • 都内某大学法学部卒。
    弁護士目指して法律のお勉強中。もっともこのブログで法律に言及することは殆どありません。この場は基本的に、頭を使わない場として私の中で位置づけられているので、何かを主張するというよりは、備忘録的に日々の記録を展開しています(不定期更新)。こんな非生産的なブログですが、息抜きがてらに遊びにきて貰えれば幸いです。

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